11日にちは地震じしん発生はっせい時刻じこくの午後ごご2時じ46分ふんにあわせて各地かくちで追悼ついとう式しきが行おこなわれます。

08:20 岩手いわて 釜石かまいし 「芳名ほうめい板ばん」設置せっち施設しせつで献花けんか

岩手いわて県けん釜石かまいし市しの鵜住居うのずまい地区ちくにある震災しんさいの追悼ついとう施設しせつ「釜石かまいし祈いのりのパーク」には、市内しないの犠牲ぎせい者しゃのうち遺族いぞくが公開こうかいを了承りょうしょうした1003人にんの名前なまえが記しるされた「芳名ほうめい板ばん」が設置せっちされています。

施設しせつには11日にち朝あさ8時じごろから献花けんかに訪おとずれたり、手てを静しずかに合あわせたりする人ひとの姿すがたが見みられました。

震災しんさいで兄あにを亡なくしたという、釜石かまいし市し出身しゅっしんで現在げんざいは埼玉さいたま県けんで暮くらす70代だいの女性じょせいは「兄あには視力しりょくが低下ていかしていたので、津波つなみから逃にげ遅おくれてしまったのではないかと考かんがえています。震災しんさいから13年ねん、長ながいようであっという間まだったようにも感かんじます。兄あにには『家族かぞくみんな元気げんきに過すごしているので、見守みまもっていてね』と伝つたえました」と話はなしていました。

06:30 岩手いわて 宮古みやふる 能登のと半島はんとう地震じしんの被災ひさい者しゃ気遣きづかう声こえも

津波つなみが押し寄おしよせ、181人にんが犠牲ぎせいになった岩手いわて県けん宮古みやふる市しの田老たろう地区ちくでは、亡なくなった人ひとたちを悼いたむとともに能登のと半島はんとう地震じしんで被災ひさいした人ひとたちを気遣きづかう声こえが聞きかれました。

宮古みやふる市しの田老たろう地区ちくでは13年ねん前まえ、国内こくない最大さいだい級きゅうと言いわれた防潮ぼうちょう堤つつみを乗り越のりこえて津波つなみが押し寄おしよせ、震災しんさい後ごに新あらたな防潮ぼうちょう堤つつみが整備せいびされました。

地区ちく全体ぜんたいを見渡みわたすことができる高台たかだいの「三さん王おう眺望ちょうぼう公園こうえん」には、朝あさ早はやくから地元じもとの人ひとたちが集あつまり、まちを見渡みわたしながら手てを合あわせるなどしていました。

自宅じたくが全壊ぜんかいしたという加藤かとう敏男としおさん（75）は海うみに向むかって手てを合あわせ「いまでも亡なくなった人ひとたちのことを思い出おもいだすことがあります。亡なくなった人ひとたちが思い残おもいのこしたことを引き継ひきついで、災害さいがいのない住すみやすい田老たろうをつくっていこうと思おもいます」と話はなしていました。

津波つなみで自宅じたくが流ながされた大だい棒ささげレオ子こさん（76）は当時とうじについて「避難ひなんしている途中とちゅうに後うしろを振り返ふりかえると海うみが上あがってくるように津波つなみが迫せまっていて本当ほんとうに怖こわかったです。自宅じたくが流ながされていくのは見みていられませんでした」と振り返ふりかえりました。

そして「ニュースで能登のと半島はんとう地震じしんの被災ひさい地ちを見みると、胸むねが詰つまる思おもいです。早はやく仮設かせつ住宅じゅうたくができてほしいです」と、涙なみだぐみながら被災ひさいした人ひとたちを気遣きづかっていました。

06:10 宮城みやぎ 石巻いしのまき 弟おとうとの後のちを継つぎギンザケ漁師りょうしに

宮城みやぎ県けん石巻いしのまき市し雄勝おがつ町まちの海上かいじょうには津波つなみで亡なくなった弟おとうとの後のちを継ついでギンザケ漁師りょうしとなった男性だんせいの姿すがたがありました。

石巻いしのまき市し雄勝おがつ町まちでギンザケの養殖ようしょくを営いとなむ阿部あべ優ゆう一郎いちろう（53）さんです。

11日にちも6時じすぎから海上かいじょうにある養殖ようしょくのいけすで勢いきおいよく飛び跳とびはねるサケに餌えさを与あたえていました。

13年ねん前まえ、阿部あべさんは福島ふくしま市内しないで働はたらいていたため無事ぶじでしたが、雄勝おがつ町まちの実家じっかが津波つなみで流ながされ、弟おとうとの良よ満みつるさん、弟おとうとの妻つま、恵美子えみこさんが犠牲ぎせいとなり、母ははの良子りょうこさんはまだ見みつかっていません。

残のこされた父ちちや弟おとうとの息子むすこを引き取ひきとり、福島ふくしま市しで暮くらすことも考かんがえましたが、父ちちの代だいから続つづくギンザケ養殖ようしょくを再開さいかいさせるために仕事しごと辞やめ、雄勝おがつ町まちに戻もどりました。

津波つなみで船ふねや養殖ようしょく施設しせつはすべて失うしないましたが、知り合しりあいから船ふねを譲り受ゆずりうけ、がれきの中なかから漁具ぎょぐを見つけ出みつけだし、震災しんさいがあったその年としの秋あきにはギンザケの養殖ようしょくを再開さいかいしました。

再開さいかいした当初とうしょは震災しんさい前まえより価格かかくや水揚みずあげ量りょうが落ち込おちこみ赤字あかじが続つづきました。

それでも弟おとうとの生いきた証あかしを残のこしたいという思おもいから諦あきらめず養殖ようしょくを続つづけ、現在げんざいでは震災しんさい前まえとほぼ同おなじ水準すいじゅんまで回復かいふくしました。

阿部あべさんは「最近さいきんは養殖ようしょくや生活せいかつのことが頭あたまの中なかにあるけど、やっぱりこの日ひだけは特別とくべつで、震災しんさいの時ときのことを考かんがえてしまう。俺おれが代かわりに頑張がんばっているからおいっ子っこのことも心配しんぱいしないで見守みまもってほしい」と話はなしていました。

06:00 岩手いわて 陸前りくぜん高田たかだ 「奇跡きせきの一本松いっぽんまつ」と献花けんか台だい

岩手いわて県けん陸前りくぜん高田たかだ市しでは午前ごぜん6時じ前まえに山やまのりょう線りょうせんから朝日あさひが昇のぼり「奇跡きせきの一本松いっぽんまつ」とともに静しずかな海うみの水面すいめんを照てらしました。「高田たかだ松原まつばら津波つなみ復興ふっこう祈念きねん公園こうえん」では、11日にち朝あさ早はやくから震災しんさいの犠牲ぎせい者しゃを悼いたむ人ひとの姿すがたが見みられました。

公園こうえん内ないにある「奇跡きせきの一本松いっぽんまつ」はかつておよそ7万まん本ほんの松まつが生い茂おいしげっていた陸前りくぜん高田たかだ市しの高田たかだ松原まつばらで、津波つなみに耐たえてただ1本ほん残のこった松まつで、震災しんさい後ごはモニュメントとして保存ほぞん・復元ふくげんされています。

茨城いばらき県けん常陸ひたち大宮おおみや市しから訪おとずれ、近ちかくの橋はしの上うえから朝日あさひと一本松いっぽんまつの写真しゃしん撮影さつえいをしていた橋本はしもと義昭よしあきさん（72）は、震災しんさい後ごから被災ひさい地ちに通かよい、一本松いっぽんまつの保存ほぞん事業じぎょうにも携たずさわってきたということです。

また被災ひさい地ちの写真しゃしんを撮影さつえいし続つづけて写真しゃしん集しゅうを発行はっこうしたり、展示てんじ会かいを開ひらいたりしているということで「もう10年ねん以上いじょうがたち、風化ふうかしつつあると感かんじるので、記録きろくを残のこすことを続つづけるのが使命しめいだと思おもっています」と話はなしていました。

宮城みやぎ県けん亘理わたり町まちから夫婦ふうふで「奇跡きせきの一本松いっぽんまつ」を見みに訪おとずれた岡田おかだ良郎よしろうさん（65）は「やっぱり一本松いっぽんまつはすごいな、頑張がんばってほしいなと思おもいました。日本にっぽんは災害さいがいが多おおいので、自分じぶんも地震じしんや津波つなみが来きたらすぐに逃にげるようにしたいです」と話はなしていました。

公園こうえん内ないにある献花けんか台だいには朝あさから静しずかに手てを合あわせる人ひとの姿すがたがありました。

7年ねん前まえから陸前りくぜん高田たかだ市し役所やくしょで働はたらく農林のうりん課かの菅原すがわら剛つよし治おさむさんは、地震じしん発生はっせい時じの午後ごご2時じ46分ふんは勤務きんむ中ちゅうで庁舎ちょうしゃを離はなれられないため、11日にち朝あさに献花けんか台だいを訪おとずれました。

震災しんさいで知人ちじんを亡なくしたという菅原すがわらさんは「『皆みなさん安やすらかに休やすんでください』と伝つたえました。住民じゅうみんがゆったりとした気持きもちで暮くらせるような街まちになればいいなと思おもっています」と話はなしていました。

06:00 岩手いわて 宮古みやふる 宿泊しゅくはく施設しせつで災害さいがい対応たいおう訓練くんれん

岩手いわて県けん宮古みやふる市し田老たろうでは、市しの職員しょくいんや消防しょうぼうなどが早朝そうちょうから災害さいがい時じの対応たいおうを確認かくにんする訓練くんれんを行おこないました。

訓練くんれんは宮古みやふる市し田老たろうの宿泊しゅくはく施設しせつ「グリーンピア三さん陸りくみやこ」で午前ごぜん6時じから行おこなわれました。

岩手いわて県けん沿岸えんがん北部ほくぶで震度しんど6強きょうの揺ゆれを観測かんそくし、大だい津波つなみ警報けいほうが発表はっぴょうされたという想定そうていで、市しの職員しょくいんや消防しょうぼうなどが参加さんかしました。

まず午前ごぜん6時じ、防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせんなどで、緊急きんきゅう地震じしん速報そくほうが出でたことが伝つたえられると参加さんかした人ひとたちは、施設しせつのロビーで頭あたまを守まもって低ひくい姿勢しせいをとり、安全あんぜんを確保かくほしていました。

そして5分ふん後ご、サイレンで大だい津波つなみ警報けいほうが出でたことが伝つたえられると参加さんかした人ひとたちはスマートフォンの速報そくほうなどを確認かくにんしていました。

また、施設しせつ内ないには臨時りんじの救護きゅうご所しょが設もうけられ、地震じしんでけがをしたという想定そうていで医師いしや消防しょうぼうが症状しょうじょうを確認かくにんしたりガーゼを巻まいたりしていました。

06:00 福島ふくしま 浪江なみえ町まち 海うみと原発げんぱつに朝日あさひ

東京とうきょう電力でんりょく福島ふくしま第だい一いち原子力げんしりょく発電はつでん所しょで処理しょり水すいを薄うすめて海うみへ放出ほうしゅつする作業さぎょうが始はじまってから初はじめての3月つき11日にちです。

原発げんぱつから北きたに7キロほど離はなれた福島ふくしま県けん浪江なみえ町まちの請戸うけど漁港ぎょこうでは、午前ごぜん6時じごろ、昇のぼった太陽たいように海うみと原発げんぱつが照てらされていました。

06:00 福島ふくしま 大熊おおくま町まち 中間ちゅうかん貯蔵ちょぞう施設しせつに朝日あさひ

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいと東京とうきょう電力でんりょく福島ふくしま第だい一いち原子力げんしりょく発電はつでん所しょの事故じこの発生はっせいから13年ねんとなる11日にち、福島ふくしま県けん大熊おおくま町まちでは、午前ごぜん6時じ前まえに太陽たいようが昇のぼりました。

町まちにまたがる除じょ染そめ廃棄はいき物ぶつの中間ちゅうかん貯蔵ちょぞう施設しせつでは、除じょ染そめで出でた土どや草くさが入はいった黒色こくしょくの大型おおがたの袋ふくろなどが積み上つみあげられていて、その上うえを覆おおった緑色りょくしょくのシートが朝日あさひに照てらされていました。

05:30すぎ 福島ふくしま 南みなみ相馬そうま 「かしまの一本松いっぽんまつ」再ふたたび

福島ふくしま県けん南みなみ相馬そうま市し鹿島かしま区くの南右田みなみみぎた地区ちくは、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの津波つなみですべての住宅じゅうたくが流ながされ、54人にんが犠牲ぎせいになるなど壊滅かいめつ的てきな被害ひがいを受うけました。

地区ちくにあった松林まつばやしも流ながされましたが、高たかさ25メートルの1本ほんのクロマツが津波つなみに耐たえ、「かしまの一本松いっぽんまつ」、または「奇跡きせきの一本松いっぽんまつ」と呼よばれ、被災ひさいした人ひとたちを勇気ゆうきづけてきました。

しかし徐々じょじょに枯かれていき、震災しんさいの6年ねん後ごに、かさ上あげ工事こうじなどに伴ともなって伐採ばっさいされました。

震災しんさい前まえまでこの地区ちくに住すみ、市内しないの内陸ないりく部ぶに移り住うつりすんだ五ご賀が和雄かずおさん（83）は、震災しんさいの記憶きおくとして伝つたえ続つづけようと仲間なかまとともにこのクロマツの松まつぼっくり30個こほどから種たねをとって苗木なえぎにし、4年ねん前まえに一いち本ほん松まつのあった場所ばしょに植うえました。

住民じゅうみんなどの協力きょうりょくもあってこれまでに96本ほんを植うえ、今いまでは大おおきいもので、高たかさ1.6メートルほどにまで成長せいちょうしました。

あの日ひから13年ねんの11日にち、五ご賀がさんは近ちかくの防潮ぼうちょう堤つつみから海うみを眺ながめ、朝日あさひが昇のぼると静しずかに手てを合あわせ、祈いのりをささげていました。

五ご賀がさんは「13年ねんたっても同おなじ地区ちくで暮くらしていた17人にんが行方ゆくえ不明ふめいのままです。ここにあった松林まつばやしが子こどものころの遊び場あそびばで、力強ちからづよく生いきた一本松いっぽんまつから受け継うけつがれた木々きぎを後世こうせいに残のこし、地区ちくがあったことを伝つたえ続つづけていきたい」と話はなしていました。

05:30すぎ 宮城みやぎ 気仙沼けせんぬま 高台たかだいの公園こうえんで祈いのり

宮城みやぎ県けん気仙沼けせんぬま市しでは津波つなみで1万まん5000棟むねを超こえる住宅じゅうたくが被災ひさいし、市しによりますと、関連かんれん死しを含ふくめて1220人にんが亡なくなり、214人にんの行方ゆくえがいまも分わかっていません。

海うみや中心ちゅうしん部ぶの町並まちなみを見渡みわたせる高台たかだいに作つくられた「気仙沼けせんぬま市し復興ふっこう祈念きねん公園こうえん」では、11日にち朝あさ早はやくから海うみや町並まちなみを写真しゃしんにおさめたり深々ふかぶかと頭あたまを下さげたりする人ひとの姿すがたが見みられました。

新潟にいがた県けんから訪おとずれた60代だいの男性だんせいは「震災しんさいの犠牲ぎせい者しゃに祈いのりをささげるとともに気仙沼けせんぬま市しの復興ふっこうが進すすんでほしいという思おもいで訪おとずれました。全国ぜんこくで相次あいつぐ自然しぜん災害さいがいの被害ひがいが少すくなくなるよう祈いのっています」と話はなしていました。

05:30ごろ 仙台せんだい 祈いのりささげる遺族いぞく

仙台せんだい市しの海岸かいがんでは犠牲ぎせいになった家族かぞくへ朝あさ早はやくから祈いのりをささげる男性だんせいの姿すがたがありました。

津波つなみでおよそ200人にんが犠牲ぎせいとなった仙台せんだい市し若林わかばやし区くの荒浜あらはま地区ちくです。

地区ちくの海沿うみぞいは災害さいがい危険きけん区域くいきとなったため住宅じゅうたくを建たてることはできません。

荒浜あらはま地区ちくで生うまれ育そだった大学だいがく敏彦としひこさん（69）です。

震災しんさい発生はっせいの当日とうじつ、仕事しごとで自宅じたくを離はなれていて無事ぶじでしたが、津波つなみで自宅じたくと実家じっかを流ながされ妻つまと両親りょうしん、兄あにとおい、合あわせて5人にんを亡なくしました。

妻つまの眞知子まちこさん（当時とうじ60）はいつも笑顔えがおで、けんかすることはほとんどなく大学だいがくさんに寄り添よりそってくれたといいます。

この13年ねん、毎月まいつき11日にちの月つき命日めいにちには欠かかさずここで祈いのりをささげてきた大学だいがくさん。

11日にち朝あさも、家族かぞくの名前なまえが刻きざまれた慰霊いれい碑ひに線香せんこうを手向たむけたあと、亡なくなった妻つまを思おもい手てを合あわせ、慰霊いれいの鐘かねを鳴ならしました。

大学だいがくさんは「あっという間あっというまの13年ねんでした。亡なくなった妻つまには、残のこされた家族かぞくをこれからも見守みまもってほしいという思おもいで手てを合あわせました。定年ていねん後ごは、夫婦ふうふで第だい二にの人生じんせいとしていろいろなところに行いきたかったけれど、夫婦ふうふの時間じかんがなくなり、寂さびしい思おもいです」と話はなしていました。

また、能登のと半島はんとう地震じしんで被災ひさいした人ひとへの思おもいについて聞きくと「生いきてさえいれば、私わたし自身じしんがそうであったように、周まわりの人ひとが手てを差し伸さしのべてくれて前まえに進すすめると思おもいます。地震じしんが起おきたら、とにかく逃にげること、身みを守まもることにつきます」と話はなしていました。

03:00 岩手いわて 釜石かまいし 店舗てんぽ流ながされ、その後そのご再建さいけんしたパン屋や

岩手いわて県けん釜石かまいし市し片岸かたぎし町まちの小笠原おがさわら辰雄たつおさんと三智子みちこさん夫妻ふさいは長年ながねん、パン屋やを営いとなんでいましたが、13年ねん前まえの東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの津波つなみで店みせと自宅じたくを流ながされました。

それでも「自分じぶんたちのパンを楽たのしみにしている地元じもとの人ひとたちのためにパンを焼やきたい」と、震災しんさいから7か月かげつ後ごには仮設かせつ店舗てんぽでの営業えいぎょうを再開さいかいしました。

その後そのご7年ねんかけて、かつて店みせと自宅じたくがあった場所ばしょの近ちかくでパン屋やを再建さいけんしました。

震災しんさいから13年ねんとなる11日にちも小笠原おがさわらさん夫婦ふうふは午前ごぜん3時じからパン作づくりを始はじめました。

震災しんさい後ご、初はじめてパンの生地きじをこねたときに感かんじた生地きじのぬくもり、焼き上やきあげたパンのおいしさはいまも忘わすれられず、毎年まいとし、3月つき11日にちは当時とうじを思い出おもいだしながらパンを焼やいてきたということです。

11日にちに作つくった菓子パンかしぱんやサンドイッチはスーパーや道みちの駅えきのほか、震災しんさいの法要ほうようが行おこなわれる寺てらなどにも届とどけられるということです。

小笠原おがさわら辰雄たつおさんは「地域ちいきの皆みなさんのおかげでここまでやってこられたので、感謝かんしゃの気持きもちを忘わすれることはありません。これからも口くちにしたときに『おいしいね』と言いってもらえるようなパンを作つくり続つづけたいと思おもいます」と話はなしていました。

死者ししゃと行方ゆくえ不明ふめい者しゃ あわせて2万まん2222人にんに

2011年ねん3月つき11日にちの午後ごご2時じ46分ふんごろ、東北とうほく沖おきでマグニチュード9.0の巨大きょだい地震じしんが発生はっせいし、東北とうほくの沿岸えんがんを高たかさ10メートルを超こえる津波つなみが襲おそったほか、関東かんとうなどにも大だい津波つなみが押し寄おしよせました。

福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつでは、巨大きょだい地震じしんと津波つなみの影響えいきょうで電源でんげんが喪失そうしつし、3基きの原子げんし炉ろで核かく燃料ねんりょうが溶とけ落おちる「メルトダウン」が発生はっせい、大量たいりょうの放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつが放出ほうしゅつされました。

警察庁けいさつちょうによりますと、今月こんげつ1日にちの時点じてんで、

▽地震じしんや津波つなみの被害ひがいなどで亡なくなった人ひとは1万まん5900人にん、

▽行方ゆくえ不明ふめい者しゃは2520人にんとなっています。

また多おおくの人ひとが長期ちょうきの避難ひなん生活せいかつを余儀よぎなくされ、復興ふっこう庁ちょうや各かく都県とけんによりますと、体調たいちょうが悪化あっかして死亡しぼうするいわゆる「震災しんさい関連かんれん死し」に認定にんていされた人ひとは、これまでに3802人にんと、この1年ねんで10人にん増ふえました。

「震災しんさい関連かんれん死し」を含ふくめた東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいによる死者ししゃと行方ゆくえ不明ふめい者しゃは、あわせて2万まん2222人にんにのぼります。

避難ひなん生活せいかつを余儀よぎなくされている人ひとは減少げんしょうが続つづいているものの、復興ふっこう庁ちょうの先月せんげつ1日にち時点じてんのまとめで、2万まん9328人にんとなっています。

被災ひさい地ちアンケート 交流こうりゅうの減少げんしょうや孤立こりつの深刻しんこく化かも

被害ひがいの大おおきかった岩手いわて・宮城みやぎ・福島ふくしまの3県けんでは、この13年ねんで道路どうろや防潮ぼうちょう堤つつみといったハード面めんの整備せいびがおおむね完了かんりょうした一方いっぽうで、人口じんこう減少げんしょうが進すすんでいます。

住民じゅうみん基本きほん台帳だいちょうによりますと、3県けんの沿岸えんがんと原発げんぱつ事故じこで避難ひなん指示しじが出でていたあわせて43自治体じちたいのうち、震災しんさい前まえと比くらべて人口じんこうが10％以上いじょう減へった自治体じちたいは全体ぜんたいの8割わりにあたる35自治体じちたいにのぼっています。

こうした中なかNHKが岩手いわて・宮城みやぎ・福島ふくしまの被災ひさい地ちの1000人にんにWEBで行おこなったアンケートで被災ひさい者しゃどうしの交流こうりゅうや地域ちいきのコミュニティー作づくりの活動かつどう状況じょうきょうについて聞きいたところ、▽「変かわらない」が56％と最もっとも多おおくなった一方いっぽう、▽「やや減へった」が18％、「減へった」が16％となり、3割わりを超こえる人ひとが減へったと回答かいとうしました。

住民じゅうみんの高齢こうれい化かや人口じんこうの流出りゅうしゅつで活動かつどうができなくなったなどの声こえが多おおく、交流こうりゅうが減へった影響えいきょうについて複数ふくすう回答かいとうで聞きいたところ、▽「町まちに暮くらす魅力みりょくが減へった」が50％となったほか、▽「地域ちいき防災ぼうさいの体制たいせいが弱よわくなった」が26％、▽「精神せいしん的てきな孤立こりつを感かんじている」が26％などとなりました。

被災ひさい地ちでは住すまいやインフラなどの復興ふっこうは進すすんだ一方いっぽう、いまも心こころに大おおきな傷きずを抱かかえて苦くるしみ、元もとの生活せいかつを取り戻とりもどせず前まえに進すすむことが難むずかしい人ひとたちもいます。

また、13年ねん前まえの震災しんさいと原発げんぱつ事故じこで自宅じたくを失うしなった人ひとなどが暮くらす災害さいがい公営こうえい住宅じゅうたくでは、入居にゅうきょ者しゃの高齢こうれい化かが進すすみ、当初とうしょ開ひらかれていた住民じゅうみんどうしの交流こうりゅうイベントも減少げんしょうするなどして、住民じゅうみんの孤立こりつが深刻しんこく化かしています。

国くには震災しんさいから10年ねんが過すぎた2021年度ねんどからの5年間ねんかんを「第だい2期き復興ふっこう・創そう生せい期間きかん」と位置いちづけて被災ひさい者しゃの心こころのケアやコミュニティー作づくりなどソフト面めんの支援しえんを継続けいぞくしていますが、長期ちょうき的てきな視点してんで被災ひさい者しゃの暮くらしをどう支ささえていくのかが引き続ひきつづき大おおきな課題かだいとなっています。

福島ふくしま県けん 今いまも避難ひなん指示しじ続つづくところも

一方いっぽう、福島ふくしま県けんでは原発げんぱつ事故じこによる帰還きかん困難こんなん区域くいきが7つの市町村しちょうそんにまたがり、今いまも避難ひなん指示しじが続つづいています。

帰還きかん困難こんなん区域くいきでは国くにの新あらたな枠組わくぐみの中なかで避難ひなん指示しじ解除かいじょへ向むけた動うごきが進すすめられていますが、一部いちぶにとどまり、除じょ染そめ廃棄はいき物ぶつの県けん外がいでの最終さいしゅう処分しょぶんをめぐる問題もんだいの先行さきゆきも不透明ふとうめいなままです。

また、福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつで行おこなわれている処理しょり水すいを薄うすめて海うみへ放出ほうしゅつする作業さぎょうは、これまでに目立めだったトラブルはなく、福島ふくしま県けん産さんの海産物かいさんぶつの市場しじょう価格かかくに影響えいきょうはみられていませんが、汚染おせん水すいを処理しょりする過程かていで放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつを含ふくむ水みずが漏もれ出だすなどのトラブルが相次あいついでいて、東京とうきょう電力でんりょくの作業さぎょうの管理かんりのあり方ありかたに厳きびしい目めが向むけられています。

福島ふくしま県けんでは山積さんせきしている難むずかしい課題かだいに向き合むきあい、復興ふっこうの歩あゆみを着実ちゃくじつに前進ぜんしんさせていくことが求もとめられています。

土屋つちや復興ふっこう相しょう “必要ひつような財政ざいせい支援しえんに万全ばんぜん期きす”

土屋つちや復興ふっこう大臣だいじんは、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいから13年ねんとなるのにあわせて報道ほうどう各社かくしゃのインタビューに応おうじ、被災ひさい地ちの復興ふっこうに向むけて必要ひつような財政ざいせい支援しえんに万全ばんぜんを期きしていく考かんがえを示しめしました。

この中なかで土屋つちや大臣だいじんは、被災ひさい地ちの現状げんじょうに関にかんし、東京とうきょう電力でんりょく福島ふくしま第だい一いち原発げんぱつの廃はい炉ろに向むけた処理しょり水すいの海洋かいよう放出ほうしゅつが引き続ひきつづき課題かだいになるとした上うえで「正確せいかくな根拠こんきょに基もとづく情報じょうほうを出だし続つづけていくことが大事だいじだ。水産すいさん業者ぎょうしゃだけでなく、農業のうぎょう者しゃなどのためにも、処理しょり水すいによる風評ふうひょうが払拭ふっしょく（ふっしょく）できるよう頑張がんばっていきたい」と述のべました。

また福島ふくしま県内けんないになお残のこる「帰還きかん困難こんなん区域くいき」への対応たいおうをめぐり「希望きぼうする住民じゅうみんが1日にちでも早はやく帰還きかんできるよう、除じょ染そめやインフラ整備せいびなどをしっかり進すすめていきたい。将来しょうらい的てきに『帰還きかん困難こんなん区域くいき』すべての避難ひなん指示しじを解除かいじょし、復興ふっこうに責任せきにんを持もつ決意けついには揺ゆらぎがない」と強調きょうちょうしました。

さらに宮城みやぎ、岩手いわて両りょう県けんの現状げんじょうについて「ハード面めんに関にかんしてはおおむね完了かんりょうしたとの意識いしきはあるが、心こころのケアをはじめとしたソフト面めんは課題かだいが残のこる。そうした状況じょうきょうを受け止うけとめ、支援しえんしていく」と述のべました。

そして被災ひさい地ちの復興ふっこうについて「息いきの長ながい取り組とりくみをしっかりと支援しえんできるよう財源ざいげんを確保かくほする。必要ひつような事業じぎょうの実施じっしに支障ししょうをきたさぬよう、万全ばんぜんを期きしていきたい」と述のべました。

能登のと半島はんとう地震じしんの被災ひさい地ちでも震災しんさいの教訓きょうくんを

元日がんじつに起おきた能登のと半島はんとう地震じしんの被災ひさい地ちでは、東北とうほくからも東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいを経験けいけんした多おおくの人ひとたちが支援しえん活動かつどうに向むかい、13年ねん前まえの経験けいけんや教訓きょうくんがさまざまな形かたちで生いかされました。

これからはインフラの復旧ふっきゅうやなりわいの再生さいせいなど能登のとの復興ふっこうに向むけても、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの教訓きょうくんを伝つたえていくことが求もとめられています。